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Author:Hazuki Suzuki
MBA留学後(Duke Class of 2010)、外資系企業のIT部門で働いています。成毛眞氏主催の新刊本おススメサイト「HONZ」、毎日好評更新中です。何卒ご贔屓に!

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2012年4月の読書記録

2012年4月の読書記録
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:2654ページ

■ビーグル号航海記 上 (岩波文庫 青 912-1)
読了日:04月06日 著者:チャールズ・ダーウィン
ビーグル号航海記 上 (岩波文庫 青 912-1)ビーグル号航海記 上 (岩波文庫 青 912-1)
(1959/08/05)
チャールズ・ダーウィン

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■TVピープル (文春文庫)
読了日:04月06日 著者:村上 春樹
TVピープル (文春文庫)TVピープル (文春文庫)
(1993/05)
村上 春樹

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■ヒューマン なぜヒトは人間になれたのか
読了日:04月10日 著者:NHKスペシャル取材班
ヒューマン  なぜヒトは人間になれたのかヒューマン なぜヒトは人間になれたのか
(2012/01/20)
NHKスペシャル取材班

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■プロ野球を統計学と客観分析で考えるセイバーメトリクス・リポート1
読了日:04月15日 著者:
プロ野球を統計学と客観分析で考えるセイバーメトリクス・リポート1プロ野球を統計学と客観分析で考えるセイバーメトリクス・リポート1
(2012/03/10)
岡田友輔、鳥越規央 他

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■系外惑星 宇宙と生命のナゾを解く (ちくまプリマー新書)
読了日:04月17日 著者:井田 茂
系外惑星 宇宙と生命のナゾを解く (ちくまプリマー新書)系外惑星 宇宙と生命のナゾを解く (ちくまプリマー新書)
(2012/03/05)
井田 茂

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■梁塵秘抄 新訂 (岩波文庫 黄 22-1)
読了日:04月20日 著者:佐佐木 信綱
梁塵秘抄 新訂 (岩波文庫 黄 22-1)梁塵秘抄 新訂 (岩波文庫 黄 22-1)
(1941/01)
佐佐木 信綱

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■月経のはなし - 歴史・行動・メカニズム (中公新書)
読了日:04月23日 著者:武谷 雄二
月経のはなし - 歴史・行動・メカニズム (中公新書)月経のはなし - 歴史・行動・メカニズム (中公新書)
(2012/03/23)
武谷 雄二

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■妊活バイブル 晩婚・少子化時代に生きる女のライフプランニング (講談社プラスアルファ新書)
読了日:04月28日 著者:齊藤 英和,白河 桃子
妊活バイブル 晩婚・少子化時代に生きる女のライフプランニング (講談社プラスアルファ新書)妊活バイブル 晩婚・少子化時代に生きる女のライフプランニング (講談社プラスアルファ新書)
(2012/03/20)
齊藤 英和、白河 桃子 他

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■NHK世界美術館紀行〈10〉シャガール美術館、シャンティイ城、トゥールーズ=ロートレック美術館
読了日:04月28日 著者:
NHK世界美術館紀行〈10〉シャガール美術館、シャンティイ城、トゥールーズ=ロートレック美術館NHK世界美術館紀行〈10〉シャガール美術館、シャンティイ城、トゥールーズ=ロートレック美術館
(2005/10)
NHK「世界美術館紀行」取材班

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■遠藤雅伸のゲームデザイン講義実況中継
読了日:04月28日 著者:株式会社モバイル&ゲームスタジオ
遠藤雅伸のゲームデザイン講義実況中継遠藤雅伸のゲームデザイン講義実況中継
(2012/03/30)
株式会社モバイル&ゲームスタジオ

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■本当のモテ期は40歳から (メディアファクトリー新書)
読了日:04月30日 著者:青木一郎
本当のモテ期は40歳から (メディアファクトリー新書)本当のモテ期は40歳から (メディアファクトリー新書)
(2012/02/29)
青木一郎

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2012-05-12(Sat) 23:02| 月間読書記録| トラックバック 0| コメント 0

なぜ面白い、なぜハマる? 『遠藤雅伸のゲームデザイン講義実況中継』

遠藤雅伸のゲームデザイン講義実況中継遠藤雅伸のゲームデザイン講義実況中継
(2012/03/30)
株式会社モバイル&ゲームスタジオ

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著者の遠藤雅伸氏はゲームクリエイター。代表作には「ゼビウス」「ドルアーガの塔」「ファミリーサーキット」など、ファミコン世代の我々が幼少の砌(みぎり)お世話になった往年の名作が、ズラリと顔を揃える。

その遠藤氏、最近ではモバイルゲームも手がけている。東京大学大学院や宮城大学ではゲームデザインについての講義を担当し、本書は好評を博したその集中講義録。演習を交えたゲームデザインの講義はエンターテインメント性も高い。ゲームのみならず、コンテンツ制作全般に通じる「気づき」が得られる、読んで楽しい講義本だ。

ゲームデザインでは、プレイヤーに楽しんでもらう上でレベルデザインが重要になってくる。あまりに易しいものはすぐにクリアされ飽きられてしまうし、難し過ぎては敷居も高く愛想尽かされてしまう。名ゲームたりうるか、クソゲーで終わるか、絶妙のバランス感覚が要求され、その匙加減は実に紙一重だ。

ロールプレイングゲームでは、ラストボスを倒しエンディングを見終わった後も長く遊んでもらうために「やりこみ」の要素が欠かせない。そこで鍵を握るのがレアアイテムの存在だ。
ここで問題: 100回やっつけた敵が1回くらい出してくれるようなアイテムを作るとき、そのアイテムの出現率を何%に設定すればよいでしょうか?

簡単に考えると、100回に1回出てくるんだったら「100分の1でいいじゃん」とも思える。その設定、確かに”平均”するとそうなるのだが、このとき実際どういう現象が起こるかというと、
・100人が10回やったときに、90人がまだ出ていない。

ここはまだ当たり前の感じ。
・20回やると82人がまだ出ていない。

このへんだとまだ誤差の範囲か。
・30回やると74人残る。
・50回目だと61人残る。

ここで、思ったより微妙に残りのほうが多くなってくる。そして、
・100回やると、実は37人がまだ出ていない。

という数字が出た。母集団100人全体としては100個出ているが、2回以上出る人もいるので、その分全く出ない人もいるという関係だ。

これは余事象という、少なくとも何かが起こったときに、その起こらなかったほうの集合を扱う考え方で、実際にはなぜか「1/e」、つまり自然対数「e」の逆数になる。これが約37なので、20分の1の出現率で20回やると、やっぱり37人がまだ出ない、ということになる。

この論点について、平均や期待値で見る確率的な考え方と、実際に生じる現象を追いかける統計的な考え方では大きな違いがあり、安易に確率的に考えるのはNG。出現率を100分の1に設定しようものなら、ユーザーから「500回やったけど出ない、これはバグじゃないか!」という苦情が殺到するハメになる。

そこで、最初の問題「平均で100回に1回アイテムが出る」という設定にしたい場合は単純に100分の1とするのではなく、「大体の人に対して、100回以内で最低1アイテムを出すための確率」はいくつかと考える、もっと言えば「100回くらいやったら絶対出る」という感覚を持つことが大切になる。

多人数対戦ゲームのレベルデザインでは、スリリングな展開の演出のために一発逆転の要素が仕込まれている。テレビのバラエティクイズ番組で10点、20点を争っていたのに「最後の問題は10万点です」と、司会者の一存で得点が突如インフレを起こし、「じゃ、今までは何だったんだ?!」と雛壇芸人が全員立ち上がるパターンだ。

しかしこれをルールとして組み込むと、どうせ逃げ切れないんだから、と序盤に「やるだけ無駄感」が出てきてしまう。実力のあるプレイヤーにはゲーム全体を引っ張ってもらわなければならないため、この手のハンディキャップを正直に公表して彼らのモチベーションを挫くのは避けねばならない。

このハンディキャップ、業界では任天堂パワーと呼ばれているとのこと。もとは任天堂の商品を紹介するためのアメリカの任天堂のPR誌のタイトルに由来する。

F-ZERO」という昔なつかしのレーシングゲーム。プレイ中、トップを完璧にぶっ千切っていたハズが、ゴール前で突如現れた追いすがる敵機を目にし「おやっ?!」という思いをした方も多いのでは? 実はこれ、レース終盤の競り合い状態の演出のため、2位のAIのスピードを一時的に上げる操作が裏でなされている。

そんな、勝っているプレイヤーには理不尽なドーピングによるパワーソースのことを「任天堂パワー」と呼び、いつしかレベルデザインのテクニックとして取り入れられるようになったとか。

(※任天堂パワーは、用量・用法を守ってこっそりお使い下さい。)

現在、ゲームの主流はモバイルゲームやオンラインゲームにシフトしている。電車の中で夢中にケータイゲームにのめり込むサラリーマンや、現実と仮想世界、昼夜が逆転してしまったゲーマーを目にするたびに

諸葛亮


と思わないでもないが、精神的に病んでいらっしゃる方も多いユーザーを相手にするゲームの作り手こそ、肝が据わっていないと務まらない仕事のようだ。

オンラインゲームの運営上、コンテンツの消費は大きな問題だ。例えば「アメーバピグ」のようなゲームの場合、フィールドが人々で賑わっているうちは良いが、そのフィールドで出来ること、買えるアイテムが尽きてしまうとユーザーが離れ、過疎化していってしまう。

このとき、ゲームデザイン側でコンテンツ消費を防ぐには、「快適にプレイをさせないようにする」というのが逆説的に重要になってくる。快適にプレイをさせないことによって客が受ける不愉快と、それによってコンテンツが消費されない具合のいいところをとって、ゲームをデザインしなければならない。

しかし、そうすることによって萎えてしまうユーザーが現れるのもまた事実。「コンテンツの消費を遅らせることによってコンテンツを維持する」という必要からフィールドを広げ、時間を浪費することをユーザーに強いているわけだが、ユーザーからのネガティブキャンペーンは強烈なものがあり、
「やってみたのかよ、バカ、◎×▲※」

という大量の書き込みやサポートセンターへのメールが殺到するとのこと。逆に、オンラインゲームの世界ではこの時間節約ニーズがアイテム課金の根源になっており、実は、お金を払っているユーザーは快適にゲームが出来ているので文句を言わないという特性がある。

優秀なゲームデザイナーも、クレーマーはたいてい無課金であることを見越し、そんな苦情は軽くあしらって、
「おまえたち、パンがないならケーキ食えばいいじゃん」

とハナからチョー高い目線で見下ろし、ニコニコ笑いながらそういうヤツラに苦しみを与えていける、そのくらいの気持ちでないと運営できないというのが実情のようだ。

その点、HONZは無課金で全コンテンツが閲覧可能なので、健全かつ良心的と言えるのではないだろうか。そして、最近始まった活動記の不定期連載で他のメンバーも指摘するように、書き手・読み手を魅了して止まない、意識・無意識のカラクリがここHONZにはあるのだろう。

個人的には、日本の古典遊戯のエッセンスをHONZに感じている。新刊本にインスピレーションを受けレビューを書くというのは季感に着想を得る「俳句」、日替わりの持ち回りレビュー投稿は和歌を披露し合う「歌会」、新刊発掘・早い者勝ちの様相を呈する朝会や超速レビューは「百人一首」、また自身の投稿執筆時には「枕-本題-落ち」という「古典落語」のプロットを意識することもしばしばだ。

裏を返せば、古今東西、面白さのカラクリやレトリックにはある種の普遍性があるように思う。その種明かしや因数分解をしてみると、用いられている要素は案外共通しているのかもしれない。
遊びをせんとや生まれけむ、戲(たはぶ)れせんとや生(むま)れけん、
遊ぶ子供の聲(こえ)きけば、わが身さえこそ動(ゆる)がるれ。 - 『梁塵秘抄』


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今回は、かつてHONZで登場したゲームにまつわる本をご紹介。


ニンテンドー・イン・アメリカ: 世界を制した驚異の創造力ニンテンドー・イン・アメリカ: 世界を制した驚異の創造力
(2011/12/22)
ジェフ・ライアン

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ゲームビジネスの最前線を題材とした選りすぐりのMBAビジネスケースとして、また、ゲームの主人公が空を飛ぶようなスピード感で物語が進行する小説としても楽しめる一冊。成毛眞のレビューはこちら


ファミコンの驚くべき発想力 −限界を突破する技術に学べ− (PCポケットカルチャー)ファミコンの驚くべき発想力 −限界を突破する技術に学べ− (PCポケットカルチャー)
(2010/10/29)
松浦 健一郎、司 ゆき 他

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ファミコンのスペック限界を超えろ!いかにして性能以上の名作ゲームが生み出されたのか、そのプログラミングの舞台裏や発想力を探る一冊。新井文月のレビューはこちら



2012-05-12(Sat) 22:56| 書評| トラックバック 0| コメント 0

記録より 記憶に残る コレ弊害? 『セイバーメトリクス・リポート1』

プロ野球を統計学と客観分析で考えるセイバーメトリクス・リポート1プロ野球を統計学と客観分析で考えるセイバーメトリクス・リポート1
(2012/03/10)
岡田友輔、鳥越規央 他

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セイバーメトリクス(Sabermetrics)
野球についての客観的・統計的な研究。ビル・ジェイムズという一人の野球ファンによって提唱され、アメリカ野球学会の略称であるSABRと測定を意味するmetricsからその名がつけられている。当初は好事家の間の趣味として広まったが現在ではMLBの多くの球団が専門家を雇い入れ、チームの運営に活用している。


全米ベストセラーの書籍に続き、昨年ブラッド・ピット主演で映画化までされた『マネー・ボール』。貧乏球団アスレチックスが統計学的手法「セイバーメトリクス」を駆使し、プレーオフ常連の強豪チームにまで躍進したサクセス・ストーリーは、今や世間が知るところとなった。

ところ変わって日本プロ野球。本書はセイバーメトリクスを日本プロ野球に適用し、純粋に収集したデータを元に統計学と客観分析の見地から滔々と論じている。本体2,200円(+税)の良心価格ながら、充実したデータとユニークな論点は見応え・読み応え十分だ。

ここでの評価指標は数字がすべて。有名・無名は関係なし。名声・人気といったお飾りはきれいさっぱり取っ払い、徹頭徹尾、選手・監督・チームの実力を数字から読み取り、分析・考察を重ねていく。ときに痛快、ときにシニカルなその論調。草の根サイバーメトリシャンの舌鋒は鋭い。

本書の前半は「ゼネラルマネジャー視点で考える2012シーズンと将来」と銘打ったセ・パ両リーグ12球団の戦力分析。「[1] 2012チーム編成」の表は秀逸で、縦軸に年齢・横軸にポジション(先発投手、リリーフ投手……右翼手、指名打者)をプロットすることで、各球団がどのポジションにどの年齢の選手を有し、統計的にA〜Eランクで評価された選手にいくら年俸を払っているかが、この表一つで俯瞰できるようになっている。

要するに、この表を眺めるだけで、
・各球団で穴となる、もしくは競争優位を発揮できるポジションはどこか?
・各選手に実力相応の年俸を払っているのか?
・ポジションの世代交代が円滑に行われそうか? (移籍により早急な戦力獲得が必要か?)

などが、誰の目にも手に取るように分かってしまうのである。

見応え満点のチーム編成表に続いては、「[2] オフの動きと2012の戦い」「[3] 将来展望」で戦力分析に移る。既に数字で大勢が決してしまった感もあり、淡々とした語り口に情け容赦は一切なし。

パ・リーグは、楽天・ロッテを除く4球団の戦力は拮抗しているようだ。

昨年、日本一の栄冠を手にした福岡ソフトバンクホークス。杉内・和田・ホールトンの3枚を失い、先発投手陣の運用における余裕は減少。ただ、二塁手(本多雄一)・三塁手(松田宣治)と20代でAランクを誇る2名のスター選手が全盛期を迎え、野手陣の攻撃力は西武と並びリーグ内で優位な立場を維持している。今後は二塁、三塁のマージンがあるうちに、いかに若手を育成するかが課題となる。

エース・ダルビッシュが抜けた日本ハムも、横浜を自由契約になったスレッジを放出時よりも低い年俸で契約。ファームに25歳以下の選手を多く抱え、30歳を超えた選手に関してはしっかりとした利得を稼げる選手でなければ、すぐに放出し若手に切り替える準備を見せるなど、相変わらず”したたか”だ。埼玉西武も中村剛也・中島裕之・栗山巧の3選手の打撃は健在。オリックスも所属選手の多くがほぼピークの30歳前後で、今年はリーグ制覇を目指すべきシーズンとなる。

他方、セ・リーグはオフの補強や編成の将来像で明暗が分かれつつある。強力な投手陣を擁し守備的な戦いを継続できる中日ドラゴンズ、キャッチャーとしてNPB歴代でも五指に入る打撃力を持った阿部慎之介、長距離砲として全盛期に入ったと思われるセンターの長野久義、今後10年以上は利得が見込める24歳のショート坂本勇人の野手陣に、杉内・ホールトンを加え厚みを増した先発陣を加えた読売ジャイアンツがリーグ制覇に名乗りを上げるだろう。

その他4球団については、以下の辛辣なコメントを見る限り、相当厳しい将来が待っていそうな気配である。今後、編成での巻き返しを期待したいところだ。

東京ヤクルトスワローズ
リーグ制覇まであと一歩に迫ったヤクルトは、チームの大黒柱であるセンターの青木宣親をポスティングで放出。海外FA権の取得は最短で2013年とまだ期間があったことを考えると、2012シーズンの優勝を早々にあきらめたと取れる選択だ。


阪神タイガース
現状、若手選手でチームの中心となれる選手はおらず、将来的に明確な強みとみなせるポジションはない。平野恵一、新井貴浩ら野手の主力選手がいずれも30代。鳥谷敬も海外FA権取得後の動向は不明。早急に手入れが必要なのは城島健司、藤井彰人がともに36歳のキャッチャーと、金本知憲が守ってきたレフト。先発投手陣も育成が進んでいない状況。リリーフ陣も同様で、MLB移籍を控えた藤川球児の代替候補の目途を、今期中に立てなければならない。


広島東洋カープ
若手の先発候補は多く存在し、ある程度の質の投手の数がそろっているのが強みだ。野手では丸佳浩(左翼手)の台頭が明るい話題だが、その他のポジションは世代交代の準備が進んでいない。ファームの野手層はかなり薄く、この中からうまく主力級が生まれ続けるとは考えにくい。


横浜DeNA
現在のDeNAは、低迷期間中の場当たり的な補強が響き、強みと呼べるポジションが存在しない。編成としては効率的な補強が急務だが、ここまではピントがずれた内容となっている。ラミレスを3.5億円で獲得したが、前任のスレッジと比べても利得の上乗せは少なく、コスト面は大幅に上昇している。


概して、年齢の高い選手は過去の実績を見込んで年俸は高めだが、全盛期を過ぎると目覚ましい活躍は期待できず、球団経営を圧迫していることが見て取れる。健全な球団経営を目指すのであれば、旬を過ぎた高給取りはいつでも放出できるよう、若手・成長株の発掘・育成に着々と取り組むのが王道だろう。

企業活動に置き換えれば、新卒採用と人材育成の重要さ、中途採用・給与システムの偏りによる弊害の縮図をここに見る心持ちがする。

本編後半の論評・分析論文の中でも、「日本シリーズ”投手酷使”史」は何とも生々しい。

手に汗握る投手戦も野球の見どころ。しかし、無理を強いる連投は確実に体を蝕む。特に、短期決戦の日本シリーズでは、勝負に固執するあまり重い負担がエースにのしかかる。

シリーズ史上の最多投球数は、大方の予想通り1958年の稲尾和久(西鉄)の578球。「神様、仏様、稲尾様」と謳われるように、全7試合のうち6試合(先発5試合・完投4試合)に登板、第3戦からの4連勝を飾り、奇跡の立役者となった。ちなみに稲尾はこのときプロ4年目の21歳。このときの獅子奮迅の活躍は今でも語り草となっているが、その10年後、31歳となった稲尾は9勝11敗と成績を落とし、翌年ユニフォームを脱いでいる。

日本シリーズを大エースに託す起用はその後も続く。南海ホークスが初の日本一となった1959年、杉浦忠は4連投4連勝という神業的な記録を打ち立てているが、その内幕は凄惨なものだ。第2戦、杉浦の右手中指にはすでに血マメができ、これを庇いながらの投球が続いていた。だが、1日空けて後楽園での第3戦にも杉浦は先発。試合中に血マメはとうとう潰れ、「血染めのボール」を受けていた捕手の野村克也が、心配してマウンドに詰め寄るほどだったという。

第4戦は雨で中止となり、血マメを潰した指に少し皮膜が張った杉浦の手の状態を見て、鶴岡監督が先発の決断を下したのは試合当日、遠征先の宿舎を出る直前のことだった。全力投球のできない杉浦は、コースをつくピッチングを余儀なくされたが、これが結果的に成功。3-0で巨人を完封し、大阪の球団に初の日本一をもたらした。

このシリーズで杉浦が投げた32投球回は、チーム全投球回の86.5%に相当する。1958年の稲尾(75.8%)を上回る歴代最高のパーセンテージだ。稲尾のときと同様、他の投手陣は全くと言っていいほど当てにされていなかった。

しかし、こうした酷使がたたったのだろう。杉浦は後に血行障害を患う。これだけの大投手でありながら生涯記録では200勝に届いていない(通算187勝)。何とも惜しい気がするのは私だけではないだろう。

時は流れ1990年代。分業制への理解も進んでいたというイメージも強いこの時代に、またしても驚くべき起用が起きた。1992年、日本シリーズ史上6番目に多い投球数を記録した、ヤクルトスワローズの岡林洋一の酷使である。(投球数430、投球回30、登板・先発・完投ともに3試合)

現役時代は南海の正捕手として、1959年に4連投4連勝した杉浦のボールを受けていた野村監督が、奇しくも今度は監督としてチームのエースに歴史的な酷使をさせることとなった。

鶴岡監督の二の舞を野村監督が演じようと意図したわけではあるまい。事実として、岡林は連投どころか救援登板すらしていない。1・4・7戦に先発し、登板間隔は移動日・中止日をはさんでいずれも中3日と最低限の休養は取らせている。しかし、第1戦は12回161球、第7戦も10回160球といずれも延長戦を投げ切り、結果として酷使の域に達してしまったと言える。(現役通算8年53勝)

これに懲りたのか、野村監督は高津臣吾という稀代のクローザーを見出し、翌年のシリーズで雪辱を果たす。その後、2度の日本シリーズでは細かな継投策で投手の登板の負荷を軽減させながら、シリーズを有利に戦っている。

「先発完投」・「150球の力投」といった、いかにも新聞の見出しを飾りそうなフレーズは耳に心地よく響くが、手放しで喜べる活躍とは言いがたい。そもそも、9回まで150球を要する投球は、素直に良い出来の内容とは言えないだろう。

誰もがそれに気づきながら見過ごされ、近年では登板過多のツケが回ったのか、松坂世代の”地盤沈下”が起こっている。松坂自身、2011年には肘の靭帯断絶が見つかり、手術を行った関係で2012年は早くともシーズン後半の復帰という予定になっている。

近年、こうした過去の反省がようやく生かされつつあるようだ。ダルビッシュや田中将大らの新しい世代は、適切な投球数で降板することが容認され、結果として2桁の完投数を記録しながらも150球以上投げる危険性を回避している。

また、投手交代で物議を醸した中日ドラゴンズの落合前監督も、主力投手の負荷に気を配ることで若手育成・ベテランの起用のバランスをとり、見事な投手王国を築き上げた。2011年日本シリーズが終了した直後、11月22日付の東京新聞に掲載された中日ドラゴンズOB杉下茂氏の言葉が、落合監督の手腕・実績に対する何よりの証左である。

「監督というものは、優勝するために投手を酷使し、踏み台にする人が多いが、岩瀬(仁紀)にしても吉見(一起)にしても、落合(博満)監督は選手を大事に扱ってくれた。それが嬉しかった」



この他、本書では
・送りバントは無駄死なのか?
・盗塁が得点、勝率に及ぼす影響
・「投手の力投」と「打者の援護」

といった、一般的にファンや解説者の間で語られている野球のセオリーやジンクスについても統計を用いた検証を行っている。一読の価値アリだ。

スポーツ、ビジネスに限らず、責任のある立場にある者はことあるごとに判断と結果を求められる。そのとき、誰しもが周囲の評判、過去の成功体験、慣習、目先の利益といった誘惑や目くらましを退け、出来うる限りの客観的事実・定量分析・長期的視点に立った決断が果たして下せるだろうか。

本書は「自戒の書」として、あらゆる分野のリーダーの手元に置く価値があると考える。時折これを見返し透徹した視点を磨く、そんな一冊が書棚にあっても良いのではないだろうか。

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ディスカバリーチャンネル ベースボール革命:勝利の統計学 [DVD]ディスカバリーチャンネル ベースボール革命:勝利の統計学 [DVD]
(2007/06/22)
不明

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セイバーメトリクスの本場・メジャーリーグの真髄を味わいたい方はこちら。

日本ハムに学ぶ 勝てる組織づくりの教科書 (講談社プラスアルファ新書)日本ハムに学ぶ 勝てる組織づくりの教科書 (講談社プラスアルファ新書)
(2011/03/23)
岡田 友輔

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本書の執筆者による「セイバーメトリクス組織論」をもっと読んでみたい方はこちら。

采配采配
(2011/11/17)
落合博満

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巷では賛否両論あるも、個人的には落合監督のリーダーシップスタイルには共感できるものが多い。ただ自分の場合、同じ淡々とするなら、もうちょっと愛想良くしていようとは思いますけどね(苦笑)。


2012-05-03(Thu) 15:39| 書評| トラックバック 0| コメント 0

2012年3月の読書記録

2012年3月の読書記録
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:2937ページ

■スプートニクの恋人 (講談社文庫)
読了日:03月01日 著者:村上 春樹
スプートニクの恋人 (講談社文庫)スプートニクの恋人 (講談社文庫)
(2001/04/13)
村上 春樹

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■ワインの世界史: 海を渡ったワインの秘密
ワインの世界史: 海を渡ったワインの秘密ワインの世界史: 海を渡ったワインの秘密
(2012/02/08)
ジャン=ロベール・ピット

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読了日:03月04日 著者:ジャン=ロベール・ピット

■一冊で読む 宇宙の歴史としくみ (BERET SCIENCE)
読了日:03月06日 著者:半田 利弘
一冊で読む 宇宙の歴史としくみ (BERET SCIENCE)一冊で読む 宇宙の歴史としくみ (BERET SCIENCE)
(2011/12/21)
半田 利弘

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■北越雪譜 (岩波文庫 黄 226-1)
読了日:03月09日 著者:鈴木 牧之
北越雪譜 (岩波文庫 黄 226-1)北越雪譜 (岩波文庫 黄 226-1)
(1978/03)
鈴木 牧之

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■私の小裂たち (ちくま文庫)
読了日:03月17日 著者:志村 ふくみ
私の小裂たち (ちくま文庫)私の小裂たち (ちくま文庫)
(2012/02/08)
志村 ふくみ

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■ウォールストリート・ジャーナル式 経済指標 読み方のルール
読了日:03月19日 著者:サイモン・コンスタブル=著 /ロバート・E・ライト=著/上野泰也=監訳/高橋璃子=訳
ウォールストリート・ジャーナル式 経済指標 読み方のルールウォールストリート・ジャーナル式 経済指標 読み方のルール
(2012/02/22)
サイモン・コンスタブル=著 /ロバート・E・ライト=著/上野泰也=監訳/高橋璃子=訳

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■山家集 新訂 (岩波文庫 黄 23-1)
読了日:03月20日 著者:西行
山家集 新訂 (岩波文庫 黄 23-1)山家集 新訂 (岩波文庫 黄 23-1)
(1928/10/05)
西行

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■西洋美術史入門 (ちくまプリマー新書)
読了日:03月23日 著者:池上 英洋
西洋美術史入門 (ちくまプリマー新書)西洋美術史入門 (ちくまプリマー新書)
(2012/02/06)
池上 英洋

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■新版 河童駒引考―比較民族学的研究 (岩波文庫)
読了日:03月30日 著者:石田 英一郎
新版 河童駒引考―比較民族学的研究 (岩波文庫)新版 河童駒引考―比較民族学的研究 (岩波文庫)
(1994/05/16)
石田 英一郎

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■200歳まで生きる! 〜ここまできた不老不死のテクノロジー〜 (マイナビ新書)
読了日:03月30日 著者:丸子 かおり
200歳まで生きる! 〜ここまできた不老不死のテクノロジー〜 (マイナビ新書)200歳まで生きる! 〜ここまできた不老不死のテクノロジー〜 (マイナビ新書)
(2012/02/24)
丸子 かおり

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■在日朝鮮人ってどんなひと? (中学生の質問箱)
読了日:03月30日 著者:徐京植
在日朝鮮人ってどんなひと? (中学生の質問箱)在日朝鮮人ってどんなひと? (中学生の質問箱)
(2012/01/26)
徐京植

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■NHK世界美術館紀行〈7〉ロンドン・ナショナルギャラリー・テート・ブリテン・コートールド美術館
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NHK世界美術館紀行〈7〉ロンドン・ナショナルギャラリー・テート・ブリテン・コートールド美術館NHK世界美術館紀行〈7〉ロンドン・ナショナルギャラリー・テート・ブリテン・コートールド美術館
(2005/09)
NHK「世界美術館紀行」取材班

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2012-04-22(Sun) 22:56| 月間読書記録| トラックバック 0| コメント 0

『ウォールストリート・ジャーナル式 経済指標 読み方のルール』で、目指せブルジョア

ウォールストリート・ジャーナル式 経済指標 読み方のルールウォールストリート・ジャーナル式 経済指標 読み方のルール
(2012/02/22)
サイモン・コンスタブル=著 /ロバート・E・ライト=著/上野泰也=監訳/高橋璃子=訳

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変化の激しい今の世の中。なればこそ、転ばぬ先の定点観測。将来を先読みするには特定の指標を定期的にチェックし、その変化やトレンドを追ってみるべし。すると社会や経済の今後が浮き彫りになってくる。

数字はウソをつかない。しかし、どの数字を選んで、どう読み解いていったらよいのか、そこにはちょっとしたコツが必要だ。本書は、初心者でも楽しみながら、マーケットのプロは知識のブラッシュアップがてら、米国の経済指標の見方について有益な知識を習得するにはうってつけの内容となっている。

金と銅、開幕間近の五輪メダルではないが、経済指標でも両者の意味するものは異なる。

金価格は経済・金融・国際政治における あらゆる不安を映し出すバロメーターだ。かつて1オンス260ドル程度だった金価格は、2001年から2010年までの間に一気に1300ドルまで駆け上がる。10年間で実に5倍の価格高騰だ。

この間、ITバブルが弾け、米国の不動産価格は激しい上昇と暴落・イラク、アフガニスタンにおける戦争の長期化、米国政府は返済の当てもなく借金を増やし、インフレの懸念も高まった。

ここで、将来への不安を感じられた方への耳寄り情報。投資戦略としては、金はポートフォリオ・インシュアランスに利用、つまり、ひどい不況などの事態に備え、資産を守るための「保険」として持っておくのが得策だ。資産全体のおよそ5~15%を金に割り当てれば良い、というのが多くの専門家の意見である。

他方、銅価格は景気のバロメーター。電気配線に自動車や電子機器の製造など、電気や熱に対する高い伝導性が必要とされる場所では、つねに銅が活躍している。高価な金、出火しやすいアルミニウムを尻目に、銅と経済の関係は今後も密接であり続け、銅価格は住宅・公共インフラ・製造業などの業績を顕著に反映している。

投資戦略としては、銅価格が1ポンド3ドル以上なら景気拡大に備え、2ドルを切ると需要が停滞しているというのが相場のようだ。

日本経済の見通しを知りたいあなたには日銀短観がおススメ。米国エコノミストに言わせれば、日本経済を見るには、日本のGDPよりも日銀短観を重視するというのがセオリーだ。日銀短観は、日本において単なるすぐれた先行指標という”以上”の意味を持っている。

日本政府の発表する公式データは、米国などの政府統計に比べて信用度が低いと見られているというのだから、何とも情けない。

「日本のGDPはいったん発表されたあとで、驚くほど大きく修正されることがあります。(略) 最初にGDPが大きな伸びを見せていると思ったら、次の修正では横ばいになっていて、最終的に修正された値を見るとマイナス成長だったというようなこともあるのです。」
(スイス・リーの米国チーフエコノミスト、カール氏の談)


GDP発表がこれほど心許なくては、消費税率引き上げの議論なぞ目も当てられないが、日銀短観にはそんなインチキもとい修正は一切なし。メインとなる業況判断DIはとてもシンプルで、数字がゼロより大きければ経済は拡大局面にあり、マイナスのときには日本経済は減速、もしくは不況に突入していると考えられる。日銀HPで手軽に情報も入手でき、是非とも活用していきたい経済指標だ。

次は何ともシニカルな指標。反面教師と言おうか、いつも間違ったタイミングで投資を行う人をベンチマークし、逆の投資アクションを喚起しようといった試みだ。そのターゲットは個人で小額の取引を行っている小口投資家。悲しいかな、彼らはいつも情報を知るのが遅く判断を誤る。価格が上がりきったところで買い、下がり切ったところで売ってしまう。

一般的にいって、投資信託に対するお金の流れを見れば、小口投資家の行動が読める。調査会社ファイナンシャル・リサーチ・コープ(FRC)では、専門的なテクニックを使って投資信託に流れ込んだ資金を追跡している。FRCは個人向けの情報は提供していないようだが、興味のある方は自分が小口投資家になる前にウェブ上で類似の情報に目を通しておいたほうが良いかもしれない。

本書に登場する50番目にして最後の指標はウェイトレス美人指数。魅力的な容姿の人間を雇いたいと思っている業界はいくらでもあるはず。しかし、景気が悪いときには美貌を生かせるような給料のいい仕事が不足しているため、仕方なく安い飲食店で働く「美しい人々」にお目にかかることができるだろう、というのがその論拠だ。

賢明な読者はお気づきとは思うが、著者の真意は、読者に自分の頭で考えてもらうこと、自分の視点で経済動向を図れるようなオリジナル指標作りにチャレンジしてもらうことにある。

かく言う私も、毎回同じ書店に足を運んで新刊本の動きを追い、年末恒例で大学時代のゼミ同窓会に出席して若手社会人の様子から各業界の勢いを感じ取っている。自分の目で見て足で稼いだ情報というのは独特の視点からの気付きもあり、バカにできないものだとつくづく感じる。

日々のニュースや身の回りの変化といった定性的な情報と、定量的な経済指標を組み合わせることで社会の流れが立体的に俯瞰でき、将来への見通しも自ずと立ってくる。本書を手元に置き、度々見返しては新しい視座を得る手がかりとして活用していきたいものだ。

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(2011/02/23)
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同シリーズでは他に、図表作りについて書かれた良質のノウハウ本も。成毛眞のレビューはこちら


2012-04-01(Sun) 20:54| 書評| トラックバック 0| コメント 0