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Hazuki Suzuki

Author:Hazuki Suzuki
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『ウォールストリート・ジャーナル式 経済指標 読み方のルール』で、目指せブルジョア

ウォールストリート・ジャーナル式 経済指標 読み方のルールウォールストリート・ジャーナル式 経済指標 読み方のルール
(2012/02/22)
サイモン・コンスタブル=著 /ロバート・E・ライト=著/上野泰也=監訳/高橋璃子=訳

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変化の激しい今の世の中。なればこそ、転ばぬ先の定点観測。将来を先読みするには特定の指標を定期的にチェックし、その変化やトレンドを追ってみるべし。すると社会や経済の今後が浮き彫りになってくる。

数字はウソをつかない。しかし、どの数字を選んで、どう読み解いていったらよいのか、そこにはちょっとしたコツが必要だ。本書は、初心者でも楽しみながら、マーケットのプロは知識のブラッシュアップがてら、米国の経済指標の見方について有益な知識を習得するにはうってつけの内容となっている。

金と銅、開幕間近の五輪メダルではないが、経済指標でも両者の意味するものは異なる。

金価格は経済・金融・国際政治における あらゆる不安を映し出すバロメーターだ。かつて1オンス260ドル程度だった金価格は、2001年から2010年までの間に一気に1300ドルまで駆け上がる。10年間で実に5倍の価格高騰だ。

この間、ITバブルが弾け、米国の不動産価格は激しい上昇と暴落・イラク、アフガニスタンにおける戦争の長期化、米国政府は返済の当てもなく借金を増やし、インフレの懸念も高まった。

ここで、将来への不安を感じられた方への耳寄り情報。投資戦略としては、金はポートフォリオ・インシュアランスに利用、つまり、ひどい不況などの事態に備え、資産を守るための「保険」として持っておくのが得策だ。資産全体のおよそ5~15%を金に割り当てれば良い、というのが多くの専門家の意見である。

他方、銅価格は景気のバロメーター。電気配線に自動車や電子機器の製造など、電気や熱に対する高い伝導性が必要とされる場所では、つねに銅が活躍している。高価な金、出火しやすいアルミニウムを尻目に、銅と経済の関係は今後も密接であり続け、銅価格は住宅・公共インフラ・製造業などの業績を顕著に反映している。

投資戦略としては、銅価格が1ポンド3ドル以上なら景気拡大に備え、2ドルを切ると需要が停滞しているというのが相場のようだ。

日本経済の見通しを知りたいあなたには日銀短観がおススメ。米国エコノミストに言わせれば、日本経済を見るには、日本のGDPよりも日銀短観を重視するというのがセオリーだ。日銀短観は、日本において単なるすぐれた先行指標という”以上”の意味を持っている。

日本政府の発表する公式データは、米国などの政府統計に比べて信用度が低いと見られているというのだから、何とも情けない。

「日本のGDPはいったん発表されたあとで、驚くほど大きく修正されることがあります。(略) 最初にGDPが大きな伸びを見せていると思ったら、次の修正では横ばいになっていて、最終的に修正された値を見るとマイナス成長だったというようなこともあるのです。」
(スイス・リーの米国チーフエコノミスト、カール氏の談)


GDP発表がこれほど心許なくては、消費税率引き上げの議論なぞ目も当てられないが、日銀短観にはそんなインチキもとい修正は一切なし。メインとなる業況判断DIはとてもシンプルで、数字がゼロより大きければ経済は拡大局面にあり、マイナスのときには日本経済は減速、もしくは不況に突入していると考えられる。日銀HPで手軽に情報も入手でき、是非とも活用していきたい経済指標だ。

次は何ともシニカルな指標。反面教師と言おうか、いつも間違ったタイミングで投資を行う人をベンチマークし、逆の投資アクションを喚起しようといった試みだ。そのターゲットは個人で小額の取引を行っている小口投資家。悲しいかな、彼らはいつも情報を知るのが遅く判断を誤る。価格が上がりきったところで買い、下がり切ったところで売ってしまう。

一般的にいって、投資信託に対するお金の流れを見れば、小口投資家の行動が読める。調査会社ファイナンシャル・リサーチ・コープ(FRC)では、専門的なテクニックを使って投資信託に流れ込んだ資金を追跡している。FRCは個人向けの情報は提供していないようだが、興味のある方は自分が小口投資家になる前にウェブ上で類似の情報に目を通しておいたほうが良いかもしれない。

本書に登場する50番目にして最後の指標はウェイトレス美人指数。魅力的な容姿の人間を雇いたいと思っている業界はいくらでもあるはず。しかし、景気が悪いときには美貌を生かせるような給料のいい仕事が不足しているため、仕方なく安い飲食店で働く「美しい人々」にお目にかかることができるだろう、というのがその論拠だ。

賢明な読者はお気づきとは思うが、著者の真意は、読者に自分の頭で考えてもらうこと、自分の視点で経済動向を図れるようなオリジナル指標作りにチャレンジしてもらうことにある。

かく言う私も、毎回同じ書店に足を運んで新刊本の動きを追い、年末恒例で大学時代のゼミ同窓会に出席して若手社会人の様子から各業界の勢いを感じ取っている。自分の目で見て足で稼いだ情報というのは独特の視点からの気付きもあり、バカにできないものだとつくづく感じる。

日々のニュースや身の回りの変化といった定性的な情報と、定量的な経済指標を組み合わせることで社会の流れが立体的に俯瞰でき、将来への見通しも自ずと立ってくる。本書を手元に置き、度々見返しては新しい視座を得る手がかりとして活用していきたいものだ。

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同シリーズでは他に、図表作りについて書かれた良質のノウハウ本も。成毛眞のレビューはこちら
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2012-04-01(Sun) 20:54| 書評| トラックバック 0| コメント 0

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