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Hazuki Suzuki

Author:Hazuki Suzuki
MBA留学後(Duke Class of 2010)、外資系企業のIT部門で働いています。成毛眞氏主催の新刊本おススメサイト「HONZ」、毎日好評更新中です。何卒ご贔屓に!

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2012年12月の読書記録

2012年12月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3578ページ

■ビーグル号航海記 下 (岩波文庫 青 912-3)
読了日:12月2日 著者:チャールズ・ダーウィン
ビーグル号航海記 下 (岩波文庫 青 912-3)ビーグル号航海記 下 (岩波文庫 青 912-3)
(1961/02/25)
チャールズ・ダーウィン

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■ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)
読了日:12月3日 著者:今野 晴貴
ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)
(2012/11/19)
今野 晴貴

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■補給戦―何が勝敗を決定するのか (中公文庫BIBLIO)
読了日:12月4日 著者:マーチン・ファン クレフェルト
補給戦―何が勝敗を決定するのか (中公文庫BIBLIO)補給戦―何が勝敗を決定するのか (中公文庫BIBLIO)
(2006/05)
マーチン・ファン クレフェルト

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■カウンターアタック―返し技・反撃の戦略思考
読了日:12月8日 著者:永井 洋一
カウンターアタック―返し技・反撃の戦略思考カウンターアタック―返し技・反撃の戦略思考
(2012/11)
永井 洋一

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■芭蕉俳句集 (岩波文庫)
読了日:12月13日 著者:松尾 芭蕉,中村 俊定
芭蕉俳句集 (岩波文庫)芭蕉俳句集 (岩波文庫)
(1970/03)
松尾 芭蕉、中村 俊定 他

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■利休の風景
読了日:12月13日 著者:山本 兼一
利休の風景利休の風景
(2012/11/22)
山本 兼一

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■筆順のはなし (中公新書ラクレ)
読了日:12月15日 著者:松本 仁志
筆順のはなし (中公新書ラクレ)筆順のはなし (中公新書ラクレ)
(2012/11/08)
松本 仁志

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■人間不平等起原論 (岩波文庫)
読了日:12月21日 著者:J.J. ルソー
人間不平等起原論 (岩波文庫)人間不平等起原論 (岩波文庫)
(1972/01)
J.J. ルソー

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■史記〈2〉書・表 (ちくま学芸文庫)
読了日:12月21日 著者:司馬 遷
史記〈2〉書・表 (ちくま学芸文庫)史記〈2〉書・表 (ちくま学芸文庫)
(1995/11)
司馬 遷

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■愛の山田うどん ---廻ってくれ、俺の頭上で!!
読了日:12月26日 著者:北尾 トロ,えのきど いちろう
愛の山田うどん ---廻ってくれ、俺の頭上で!!愛の山田うどん ---廻ってくれ、俺の頭上で!!
(2012/11/21)
北尾 トロ、えのきど いちろう 他

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■昆布と日本人 (日経プレミアシリーズ)
読了日:12月29日 著者:奥井 隆
昆布と日本人 (日経プレミアシリーズ)昆布と日本人 (日経プレミアシリーズ)
(2012/12/11)
奥井 隆

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■史記〈3〉―世家〈上〉 (ちくま学芸文庫)
読了日:12月31日 著者:司馬 遷
史記〈3〉―世家〈上〉 (ちくま学芸文庫)史記〈3〉―世家〈上〉 (ちくま学芸文庫)
(1995/09)
司馬 遷

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2013-01-03(Thu) 23:09| 月間読書記録| トラックバック 0| コメント 0

2012年11月の読書記録

2012年11月の読書記録
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:?ページ

■山の音 (岩波文庫)
読了日:11月3日 著者:川端 康成
山の音 (岩波文庫)山の音 (岩波文庫)
(1988/10/17)
川端 康成

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■脳からみた認知症 (ブルーバックス)
読了日:11月10日 著者:伊古田 俊夫
脳からみた認知症 (ブルーバックス)脳からみた認知症 (ブルーバックス)
(2012/10/19)
伊古田 俊夫

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■統計データはためになる! ~棒グラフから世界と社会の実像に迫る~
読了日:11月13日 著者:本川 裕
統計データはためになる!  ~棒グラフから世界と社会の実像に迫る~統計データはためになる! ~棒グラフから世界と社会の実像に迫る~
(2012/09/22)
本川 裕

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■金子光晴詩集 (岩波文庫)
読了日:11月16日 著者:
金子光晴詩集 (岩波文庫)金子光晴詩集 (岩波文庫)
(1991/11/18)
清岡 卓行

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■慶應幼稚舎 (幻冬舎新書)
読了日:11月16日 著者:石井 至
慶應幼稚舎 (幻冬舎新書)慶應幼稚舎 (幻冬舎新書)
(2010/05/27)
石井 至

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■やせる! (光文社新書)
読了日:11月19日 著者:勝間 和代
やせる!やせる!
(2013/03/22)
勝間 和代

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■金属が語る日本史: 銭貨・日本刀・鉄炮 (歴史文化ライブラリー)
読了日:11月20日 著者:齋藤 努
金属が語る日本史: 銭貨・日本刀・鉄炮 (歴史文化ライブラリー)金属が語る日本史: 銭貨・日本刀・鉄炮 (歴史文化ライブラリー)
(2012/10/19)
齋藤 努

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■史記〈1〉本紀 (ちくま学芸文庫)
読了日:11月24日 著者:司馬 遷
史記〈1〉本紀 (ちくま学芸文庫)史記〈1〉本紀 (ちくま学芸文庫)
(1995/04)
司馬 遷

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■ビーグル号航海記 中 (岩波文庫 青 912-2)
読了日:11月26日 著者:チャールズ・ダーウィン
ビーグル号航海記 中 (岩波文庫 青 912-2)ビーグル号航海記 中 (岩波文庫 青 912-2)
(1960/02/25)
チャールズ・ダーウィン

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■構図がわかれば絵画がわかる (光文社新書)
読了日:11月28日 著者:布施 英利
構図がわかれば絵画がわかる (光文社新書)構図がわかれば絵画がわかる (光文社新書)
(2012/10/17)
布施 英利

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■走ることについて語るときに僕の語ること
読了日:11月30日 著者:村上 春樹
走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)
(2010/06/10)
村上 春樹

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2013-01-03(Thu) 23:06| 月間読書記録| トラックバック 0| コメント 0

2012年10月の読書記録

2012年10月の読書記録
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2752ページ

■ヒトはなぜ眠るのか (講談社学術文庫)
読了日:10月10日 著者:井上 昌次郎
ヒトはなぜ眠るのか (講談社学術文庫)ヒトはなぜ眠るのか (講談社学術文庫)
(2012/09/11)
井上 昌次郎

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■もういちど読む山川地理
読了日:10月14日 著者:田邉 裕
もういちど読む山川地理もういちど読む山川地理
(2012/05)
田邉 裕

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■ウナギ 大回遊の謎 (PHPサイエンス・ワールド新書)
読了日:10月14日 著者:塚本 勝巳
ウナギ 大回遊の謎 (PHPサイエンス・ワールド新書)ウナギ 大回遊の謎 (PHPサイエンス・ワールド新書)
(2012/06/16)
塚本 勝巳

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■女ことばと日本語 (岩波新書)
読了日:10月20日 著者:中村 桃子
女ことばと日本語 (岩波新書)女ことばと日本語 (岩波新書)
(2012/08/22)
中村 桃子

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■『日本文学史序説』 補講
読了日:10月23日 著者:加藤 周一
『日本文学史序説』補講 (ちくま学芸文庫)『日本文学史序説』補講 (ちくま学芸文庫)
(2012/09/10)
加藤 周一

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■老舗復活 「跡取り娘」のブランド再生物語 (日経ビジネス人文庫)
読了日:10月26日 著者:白河 桃子
老舗復活 「跡取り娘」のブランド再生物語 (日経ビジネス人文庫)老舗復活 「跡取り娘」のブランド再生物語 (日経ビジネス人文庫)
(2012/06/02)
白河 桃子

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■京のわる口 (平凡社ライブラリー)
読了日:10月27日 著者:秦 恒平
京のわる口 (平凡社ライブラリー)京のわる口 (平凡社ライブラリー)
(2012/10/12)
秦 恒平

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■元素周期表で世界はすべて読み解ける 宇宙、地球、人体の成り立ち (光文社新書)
読了日:10月28日 著者:吉田 たかよし
元素周期表で世界はすべて読み解ける 宇宙、地球、人体の成り立ち (光文社新書)元素周期表で世界はすべて読み解ける 宇宙、地球、人体の成り立ち (光文社新書)
(2012/10/17)
吉田 たかよし

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■人権宣言集 (岩波文庫 白 1-1)
読了日:10月28日 著者:
人権宣言集 (岩波文庫 白 1-1)人権宣言集 (岩波文庫 白 1-1)
(1957/03/25)
高木 八尺、 他

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■病牀六尺 (岩波文庫)
読了日:10月31日 著者:正岡 子規
病牀六尺 (岩波文庫)病牀六尺 (岩波文庫)
(1984/07/16)
正岡 子規

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2012-11-19(Mon) 12:45| 月間読書記録| トラックバック 0| コメント 0

『師』 メダリストに一流の恩師あり。

師 (天才を育てる。)師 (天才を育てる。)
(2012/07/26)
テレビ朝日「Get Sports」

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ロンドン五輪の熱狂覚めやらぬ中、銀座で行われたメダリストのパレードには50万の観衆が駆けつけた。史上最多の38個のメダルを獲得した五輪のヒーロー・ヒロインたち、真剣勝負の険しい表情も凛々しいが、晴れやかな笑顔も見ていて気持ちが良いものだ。

栄光の勝利、そして歓喜の渦の中にあっても、天才アスリートは自分を支えてくれた人々への感謝の言葉を欠かさず口にする。彼らは大きな壁にぶつかったとき、見守り、救ってくれた人たちがいたからこそ、今の自分があるということを知っている。

しかし裏を返せば、アスリートの悩みは恩師たちの悩みでもある。一流選手の影に一流の恩師あり。本書では、ロンドン五輪・日本代表を支えてきた6組7名の恩師たちのエピソードが紹介されている。いずれの話も、人を育てること、何かを伝えることに思いのある方への示唆に富んでいる。

競泳日本代表のヘッドコーチを務めた平井伯昌の教え子には、北島康介、中村礼子、寺川綾といったトップスイマーが名を連ねる。中でも2004年のアテネ、2008年の北京と2度のオリンピックで平泳ぎ100、200mの2種目を制覇した北島は、まぎれもなく日本の競泳史に残るスイマーである。

平井が北島とであったのは彼が中学2年のとき。スイミングクラブでは北島への評価は決して高いものではなかったが、平井は「北島の眼差しとまっすぐな姿勢に、将来性を見出し」、「オリンピックを狙える、メダルを取れる選手だ」との印象を受ける。

北島の育成にあたっては「逆算して指導を始めた」と平井は語る。まだ中学生であることを考えれば、ピークとなるのは先だから、まずは基礎的な部分から。一つ課題をクリアしたら次のステップに進む、といった具合だ。

この頃、平井はコーチになって10年目、教えていた選手たちが高校生の半ばほどで伸び悩んでいた事実を目にしていた。教え子を指示待ち人間のようにさせていた、「高校生で頭打ちにならず、その先も成長していくためには、段階を踏んで、自分で考えていける割合が大きくなっていかなければいけないんじゃないか」と考えた平井。

さっそく実践とばかり、「言葉」にも気を遣い北島の成長を促す。「オリンピックで金メダルを取るぞ」と何度も言い、中学の全国大会、平泳ぎ100mを1分5秒で制した北島に対し、「康介、59秒台(※当時、前人未到の世界記録)ってどうしたら出ると思う?」と傍から見ればまるで夢物語のお話。しかし、これらは皆、未知の世界記録レベルに少しでも触れさせようという弟子への思いから出た言葉の数々であり、後に現実のものとなる。

北島の才能開花の裏側には、地道な課題解決に二人三脚で取り組み、肉体的・精神的リミッターを取っ払う想像力を喚起し続けた名コーチ・平井のこうした働きかけがあったのだ。

コーチの言うことを
すべて聞くような社会人じゃ
伸びていかない
セルフマネージメントが必要
(平井伯昌)


その他のエピソード、メダルを目指したアスリートたちの原点と、その指導マネジメントはぜひ本書を手にとって読んでいただきたい。

28年ぶりのメダル獲得に沸いた女子バレー。その主力メンバーであるエース・木村沙織、キャプテン・荒木絵里香を輩出した下北沢成徳高等学校の女子バレー部監督・小川良樹は、「ひたすらレシーブに耐え、スパイク練習を延々と繰り広げる」という、強豪バレー部にありがちな姿勢とは”正反対”の指導を行っている。そこにある発想の転換とは?

才能に優れるチームには
「自分のチームが好き」とか
「バレーボールが好き」という
環境づくりで勝負しよう
(小川良樹)


レスリング指導の第一人者たる栄和人の教え子には、オリンピック三連覇の偉業を成し遂げた女子レスリングの吉田沙保里(55kg級)と伊調馨(63kg級)。栄自身、現役時代は無敗記録を打ち立てるも大一番での敗戦と挫折を味わう。くしくも、48kg級で金メダルに輝いた小原日登美もまた、かつて栄が指導し、挫折を経験して栄のもとを去っていった。選手として、指導者として、自問自答を繰り返してきた栄のメンタリティとは?

いろいろな壁に
ぶつかっている人間でなければ
伝えられない部分もある
だから僕がいる
(栄和人)


今回の五輪、メダリストのインタビューで恩師への感謝とともに印象に残ったのは、本番を「楽しむ」というセリフ。アメリカ人などには、よくここ一番の場面で”Enjoy!!”という言葉をかけられるが、そこには「今まで出来る限りの準備をやってきたんでしょうから、あとは開き直って普段どおりの力が出せれば大丈夫」といった、楽天的な励ましの気持ちが込められているように感じられる。

第一線で活躍するアスリートのほとんどが年下になってしまったが、彼らの感覚には「頑張れ」より”Enjoy”の精神のほうがしっくりくるようにも思える。世界の大舞台で躍動する姿に、私も多くのことを感じ考えさせられる。最高のパフォーマンスを披露してくれる一流選手は、我々にとって最良のメンターでもあるのかもしれませんね。

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突破論突破論
(2012/07/17)
平井伯昌

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競泳日本代表ヘッドコーチ平井伯昌氏の、常識にとらわれない思考法を紹介。種目も性格も年齢も違うトップスイマーのやる気と能力をいかに引き出したのか、「平井式メソッド」の秘密に迫る。

なでしこ力 次へなでしこ力 次へ
(2012/04/21)
佐々木 則夫

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FIFA女子年間最優秀監督賞を受賞した佐々木監督が、日本女性の持つパワーを語り尽くす。 単なる「団結力」や「精神力」では十分に言い表すことができない、勝つチームの強さの秘訣とは?

「精密力」~日本再生のヒント~―全日本女子バレー32年ぶりメダル獲得の秘密 (主婦の友新書)「精密力」~日本再生のヒント~―全日本女子バレー32年ぶりメダル獲得の秘密 (主婦の友新書)
(2011/05/09)
眞鍋 政義

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「もしドラの実写版」とも言える女子バレーの躍進劇。データ分析と小さな数値目標クリアの積み重ね、そして選手一人一人への気配り。日本再生は、根性論や精神論から抜け出すことから始まる。


2012-09-30(Sun) 22:38| 書評| トラックバック 0| コメント 0

『スパコンとは何か』1位か2位か、それが問題か?

スパコンとは何か (ウェッジ選書46)スパコンとは何か (ウェッジ選書46)
(2012/06/20)
金田 康正

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ブラジルのサッカーW杯代表選手、あるいは日本の柔道オリンピック代表に対し、「2番じゃダメなんでしょうか?」と面と向かって問うこと自体、ナンセンスではある。が、ことスーパーコンピューターに関しては、”発言者”の意図はさておき、この質問が一般人のみならず、専門家、国策を担う政治家・官僚にとっても大きな一石を投じることになった。

本書の著者・金田康正氏は、計算科学の第一人者。2009年の行政刷新会議、「次世代スーパーコンピュータ『汎用京速計算機』プロジェクト」の事業予算判定には”事業仕分け人”有識者の一人として列席している。

本書では、次世代コンピュータープロジェクトについて開発の歴史・現在の課題・未来への提言が簡潔かつ網羅的に語られており、一読をおススメしたい。

「スーパーコンピューターとは何か?」― 一般的には「演算処理速度がその時代の一般的な計算機(コンピューター)より極めて高速な計算機」とされることが多い。身近な自動車の例でいうと、普通の自家用車(=計算機)とF1カーをトップとするレーシングカー(=スーパーコンピューター)の違いといったところだろう。

まさに、厳密な定義があるわけではないことこそ、スーパーコンピューターの性能が時代とともに急激に進化していることの証左でもある。日本では、2005年から倍精度浮動小数点数について1.5T Flops(テラフロップス)以上の演算性能ををもつコンピューターを「政府調達におけるスーパーコンピューター」と位置づけている。

現在ではとりあえず「1秒間に倍精度浮動小数点演算を1兆5000億(1.5テラ)回行う性能のコンピューターがスーパーコンピューターである」ということになっているが、これも今となっては低すぎる数値となってしまった。今我々が日常的に使っているパソコンも、コンピューター黎明期の数十年前に戻してやれば、当時としては立派なスーパーコンピューターで通じるのだ。

いったい、そのスーパーコンピューターでは何が出来るのだろうか? スパコンが最も日常的に使われているのは気象予報・天気予報における数値予測だろう。「"気象”は地球表面で発生する大気の流れによっておきる物理現象であり、その運動は流体力学や熱力学といった物理法則にしたがう。そこで、地球大気に起こる現象を物理法則をもとに予測しよう」というのが天気予報のカラクリだ。

もちろん、スパコンの用途は天気予報だけではない。エンジニアリングにおけるシミュレーション、大量の計算を「より短時間に・より正確に行う」のがスパコンの得意技。次世代スーパーコンピュータ戦略委員会は、スーパーコンピューター「京」の利用によって「社会的・学術的に大きなブレークスルーができる分野」、即ち戦略分野として以下の5分野を決定している。

[分野1] 予測する生命科学・医療および創薬基盤
[分野2] 新物質・エネルギー創成
[分野3] 防災・減災に資する地球変動予想
[分野4] 次世代ものづくり
[分野5] 物質と宇宙の起源と構造


それぞれのテーマを見てみると、かなりの広範囲にわたるスパコンの利活用が期待されていることが分かるだろう。研究課題も挑戦的なものが並ぶ。どれも戦略的な分野であり、進歩のスピードが目覚しいコンピューターの分野で他国の後塵を拝するようでは、あっという間に他国に水をあけられ、取り返しのつかない事態に陥ってしまうかもしれない。

他方、著者は別の見方として「総花的に計算リソースを展開しているように見えなくはないし、新しい研究費支給パスの準備が行われているとも見えなくもない」と指摘する。

コンピューター ソフトなければ ただの箱 (よみ人知らず)


問題はそれだけではない。「いま世界における半導体の技術状況をみた場合、プロセッサーにしてもメモリーにしても現存技術はピークに達しつつ」ある。単純化して言うと、コンピューターはハード(機械)とソフト(プログラム)が一体になって動いているわけだが、さらなる高速化に向けた打ち手としては、ハード面からのアプローチは徐々に手詰まり感が出てきているようなのだ。

それでも世界最速にこだわり、とにかくCPUの数を増やして「超々並列化」技術に走る、あるいは発電所1基分の電力を使ってシステムを動かす、といった金に物を言わせるやり方もなくはない。が、はたしてこれが科学的発想なのかという疑問も頭をもたげてくる。

しかも、米国・中国といった競争相手とは違い軍事目的の”派手な”開発予算が付かない我が国。ハードウェアの新規性でホームランが早々見込めないのであれば、「何をどう計算するのか」といったソフトウェアやアプリケーションに知恵を絞り、「選択と集中」が勝負の鍵となってくるのは自明であろう。

しかし、くだんの事業仕分けの際、莫大な国家予算を投入して実行する必要性について具体的な回答が求められたものの、文部省側の説明は「サイエンスには費用対効果になじまないものがある」、「国民に夢を与える」のが「非常に大きなこのプロジェクトの1つの目的」といったものに留まっている。

「あの議論は、<いま開発しようとしているスパコンは、速度だけ世界一を目指しているが用途が狭い。日本の科学技術を世界一にする道具であるスパコンはどんな性能・機能を持たねばならないか、一度立ち止まって再検討したほうが良い>というものだったと私は理解しています」

(とある”非専門家”仕分け人の言葉)


政治・経済、技術、スポーツ等、いずれの分野も高度化・専門化にますます拍車がかかるようにも見受けられるが、古今東西、その要諦は単純明快なところにあるのではないか。でればこそ、素人にも腑落ちできるような説明が適わないときには、気をつけたほうがよさそうだ。

よろず手遅れになってから反省会を開いて「失敗の本質」を検討する前に、“主戦場”を見誤るな、勝負どころを間違えるな。本書の事例からもそんな声が伝え聞こえてくる。

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今回、私自身はウェッジ選書シリーズを初めて取り上げさせていただいたが、既刊書でもナカナカ興味深いタイトルが並んでいる。「ウェッジの書籍」は「ブームにおもねらず本質を追求する良書」がモットーだとか。今後も要チェックです!

緑色はホントに目にいいの?―図解 常識を科学する ホントかウソか!?40問 (ウェッジ選書)緑色はホントに目にいいの?―図解 常識を科学する ホントかウソか!?40問 (ウェッジ選書)
(2001/10)
深見 輝明

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東京駅はこうして誕生した (ウェッジ選書)東京駅はこうして誕生した (ウェッジ選書)
(2007/01)
林 章

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ラザフォード・オルコック―東アジアと大英帝国 (ウェッジ選書)ラザフォード・オルコック―東アジアと大英帝国 (ウェッジ選書)
(2012/04)
岡本 隆司

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2012-09-30(Sun) 22:34| 書評| トラックバック 0| コメント 0

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